京都市立芸術大学オープンキャンパス 2019

8月4日(日)、夏期講習会の授業をT先生にお任せして、京都市立芸術大学のオープンキャンパスに行って来ました。

 

午前中、校門前で少し当アートスクールのリーフレット配りをした後、12時半からの全体説明会や2時10分からの教員対象の説明会に参加しました。

そこで感じたことは、昨年度のオープンキャンパスで感じたこととほとんど同じです。(昨年度のオープンキャンパスについて書いたブログをご参照ください。)

 

●アドミッション・ポリシー(学生の受け入れ方針)に書かれていることを中心として、その方針に準じて入試の出題方法が考えられていること、

●学科と実技の様々な得点配分によって様々なタイプの学生が入学できる可能性があり、それによって大学が多様性を持ち得ていくこと、

●他の美大と比べて入試において学科の比重を高くしているのは、実技のスキルの高さばかりではなく幅広い教養を備えた学生を求めていることを表しているということ、

●受け身ではなく、芸術について強い興味・好奇心を持ち、自発性に富んだ学生を求めているということ、

 

などを再度確認しました。

 

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昨今の美術・デザインの状況の中では、狭い表現ジャンルの中に閉じこもるのではなく、絵画、彫刻、工芸、デザインなどといったこれまでのジャンルの垣根を超えるような「ジャンル横断的」な表現、さらには自然科学やテクノロジー、医学、経済学、社会科学などの他分野との横断的な表現へと向かう傾向が見られます。そうした学際的な表現に対応するためには、私たちを取り巻く幅広い「知」の有り様や、社会の出来事、あるいは身近な出来事からの気付きなど、様々なことを柔軟に受け止める感性や知性、それを自分の表現として練り上げ、独自な形でアウトプットするための発想力が求められると思います。

(これは、日本画や工芸などのように伝統を継承する部分の大きい表現にも言えることだと思います。世界の様相の変化とともに私たちの感受性も変化し、それがメディウムの質的変化へと繋がってくることは当然のことだからです。様式的には大きな変化はなくとも、「意味」が変わってくるわけです。)

 

そのように、未来の「アート」(美術/デザイン/工芸など総称として)の様態を見ながら、そうした「アート」を生み出すのにふさわしい学生を育てるためのプラットフォームの構築を今の京都芸大は目指しているのだな、と感じています。

全体説明会の中でも述べられていた「美術教育を創造行為だと捉える」という言葉は、こうした新しいアートを担う学生とともに、大学のあり方そのもの再創造し続ける意志の表れだとも思いました。

 

私自身も京都芸大の出身者ですが、私が学生だった30年以上も前からこうした校風は連綿と続いているように思いますし、またそのような京都芸大の独自性は、5年後にJR京都駅東部エリアに移転する新しいキャンパスのかたちにも反映され、ますます強いものとなっていくだろうと思います。

 

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説明会以外にも、(時間の都合もあって全部ではありませんでしたが)各専攻のブースを回って展示された学生作品などを見学しました。その中で前任校からの在校生の何人かにも会えて元気な姿を見せてもらえました。今年度、六角舎アートスクールから合格したOさんも総合芸術学科のブースで元気にお客さんを案内していましたよ。

 

写真は

●全体説明会の入場を講堂前で待つひとびと

●体育館や音楽棟へのアプローチ。道を塞ぐかのように銀杏が大きく繁っていてびっくり

●アトリエ棟前で行われていた油絵のデモンストレーション

●グラフィックデザイン専攻の展示

●日本画制作室の風景

●染織棟に設けられた展示スペースにて(その1)

●染織棟に設けられた展示スペースにて(その2)