1学期終了

本日、7月21日で1学期授業の日程が終了しました。

 

1学期開始時のブログで述べたように、今学期の目標、基礎力の強化を目指して課題を進めてきました。

今学期から新しく入学された受講生の皆さんは、もちろん基礎的なことを順次説明しながら課題に取り組んでいってもらっていますが、昨年から引き続き受講されている方にも、デッサン、色彩、立体の基礎を再度確認し、その過程でさらに強化したい部分を洗い出して、そのための課題に時間をかけて取り組んでもらいました。

 

また、志望校の入試からは少し外れるような課題にも1学期のうちならばまだ比較的余裕を持って取り組んでもらえます。いくつかそんな課題もやりましたが、そういう志望校の傾向と対策にとどまらない美術・デザインへの経験の蓄積が、本当の実力の涵養に結びついていくと思っています。

 

課題に取り組んでいく中で、技術的な面、理論的な面などの疑問が湧いてきたり、難しい部分に突き当たった時に、講師もそれを一緒に解決していきたいと思います。そしてその機を捉えていろいろな話をします。特に色彩や立体の課題では、関連する図版を一緒に見たり、美術史を紐解いたりしながら理解を深めてもらえるように心がけています。

 

それ以外にも、課題を説明していく中で、講評の中で、課題を進めていく中で、また授業時間の前後など、折に触れていろいろな話をしました。

 ものを見るということとは/印象派、セザンヌ、キュビズムなどの近代絵画について/視覚混合について/青色発光ダイオード登場の革新性について/ディズニーアニメについて/カビやキノコ、ウィルスについて/アフォーダンスについて/被災したノートルダム寺院の再建案について/現代の建築について/今やっている展覧会について・・・などなど。

 

私は美術・デザインは人間の活動の全部、その総合の中から生まれてくると考えていますので、いろいろなことを契機に、それを美術・デザインに結びつけて受講生の皆さんと一緒に考えていければと思っています。

 

現在、当アートスクールでは、中学2年生から浪人生まで(そして一般コースでは社会人の方も)の受講生の皆さんが課題に取り組んでおられます。1学期中に制作された課題の中からその一部をご紹介します。

 

●一番上のデッサンは、金属や玉ねぎの表面の表情を緻密に作り上げて行くことや、モチーフの色の濃い部分の鉛筆の色調をしっかり出すことをテーマに取り組んだ作品です。

 

●上から2番目と3番目のデッサンは京都芸大の過去問題です。大きなモチーフをバランスよく画面に収めたり、白っぽい似たようなトーンを丁寧に観察して立体感や質感の違いを出すことなどをテーマにしています。

 

●石膏像はデッサン力強化のために取り組んだ作品で、形を厳しく取ること、石膏の白さと立体感を両立させるようなトーンを丁寧に観察し、部分の表情と全体の見え方を比較しながら描きあげることをテーマに制作しました。

 

●上から5、6、7番目の3点のデッサン(2点モチーフ)は、基礎的なデッサンの練習課題として初学者の皆さんに描いてもらっているものです。それぞれの課題にテーマがありますが、それらを踏まえた上で、よく観察して丁寧に描こうとしている好感の持てるデッサンだと思います。(納豆とステンレスカップのデッサンは中学生の作品です。)

 

●4点ある色彩の課題のうち一番上の作品は、ベタ塗りの色面構成における構成感覚や色彩感覚の強化のために、少し時間をかけて制作したものです。

 

●色彩課題の上から2番目の課題は、京都芸大の過去問題で、垂直線と水平線を必ず用いて「爽快」をテーマに制作するものです。ベーシックな色彩練習の成果をイメージ表現に応用して行くことや、絵の具と描写による表現の幅を広げて行くことを意識しながら制作されました。

 

●色彩の課題の一番下の2点は、色彩の基本課題の一つで、「電球」から発想したイメージ表現です。両方ともこうした課題をするのは初めての方の作品ですが、積極的にイメージを展開させ、楽しく、テーマがよく伝わる画面を作ってくれました。(サンタクロースの絵は中学生の作品です。)

 

ここに紹介した作品以外にも、立体も含め、たくさんの秀作の誕生に立ち会うことができました。

23日の自由登校日を経て、24日からは夏期講習会が始まりますが、またそこでも充実した作品を見ることができると思います。