京都府立堂本印象美術館(衣笠の立命館大学の正面)で開催中の、竹内浩一展「風が迎えて」を観に行きました。
私が竹内浩一氏の作品を初めて観たのは、1982年に大阪・なんば高島屋の「次代への日本画展」というその頃の若手〜中堅の日本画家たちを集めて展示したグループ展ででした。美大受験を直前に控えた高校3年生の冬、大学生になったら洋画、日本画、彫刻、現代アートなどどういう方向性を目指して制作していこうかと思案しながら、気になる展覧会に足を運んでいました。
同時期に洋画の展覧会では同じような趣旨の「明日への具象展」というものもあり、「次代への日本画展」はそれと対になるような位置付けなのかなと思いながら観ていましたが、その展覧会に並んだたくさんの絵の中で最も印象に残った作品が、竹内浩一氏の「
巨椋」でした。たくさんの細い笹の幹が一面に描かれ、その幹の隙間から横たわる鳥(死骸?)が微かに見えています。押し付けがましさが全くなくて控えめな印象ながら、緊張感のある画面構成と描画の繊細さ、そして画面に漂う無常感が伝わってくる絵に引き込まれました。
その後、私は現代アート的な方向性で独自の絵画を志向し始めたため日本画の展覧会に行くことはまれになりましたが、竹内氏の作品はいつも気になるものであり続けていました。
竹内氏の展覧会は、近年では、2017年5月に銀閣寺の近くの白沙村荘 橋本関雪記念館であった回顧展を観ています。今回の堂本印象美術館での回顧展は、美術館がさほど大きくないため出品数は限られたものでしたが、氏の若い頃から最近の作品までを精選していて見応えがありました。
中でも、大作が並べられた大陳列室に展示されていた、四国の動物園にいた象の花子を描いたという「幻花」(2004年 京都市美術館蔵)はさながら「宇宙みたいな絵」で、その不思議な感覚をゆっくりと味わいました。
堂本印象美術館での展覧会を観た1週間後、大徳寺の塔頭の一つである芳春院に行ってきました。この塔頭は普段は非公開ですが、現在開催中の竹内浩一展に併せて、方丈にある竹内氏による72面の襖絵の公開のため6月7日まで拝観が可能です。(5/14は休み。)堂本印象美術館でこの襖絵の制作過程に密着した映像作品を観て、芳春院にもぜひ足を運びたいと思ったのです。
方丈南側の枯山水の「花岸庭」(中根金作)と北側の回遊式の「呑湖閣庭園」(小堀遠州)に正対するように、方丈の各部屋の襖に花鳥画がモノクロームで描かれています。青鷺、狐、猿、鯰、兎、笹など竹内作品ではお馴染みのモチーフですが、それらが余白を十分に生かし、薄い墨(と鉛筆?)のトーンで細密に描かれることで極めて静謐な空間が生まれています。
この日は他に観光客もほとんどおらずすごく静かで、竹内氏の精緻な描写を至近距離でじっくり見つめてきました。(Y.O.)
