石本正 生誕100年回顧展(京都市京セラ美術館)


2021年4月に島根県立美術館で観損ねてしまっていた、日本画家・石本正の回顧展が京都市京セラ美術館に巡回してきたので観にいってきました。

 

本画の他にもデッサンがたくさん展示されているのですが、そのデッサンがとにかく素晴らしかったです。モデルをみつめる一瞬でも永遠でもあるかのような眼差しが一本の線の中に凝縮されてモデルの姿をかたちづくっていくのですが、それによって目の前の現実を模倣したものではなく、「絵」という別の(時空の)現実へと変成している様が生々しく感じられました。

一方、本画の方では晩年の「生命の樹に寄るカッチョ乙女」など、六臂の半人半魚の女性を描いた絵が、これまでの長年の画業が奔放な画想と奔放な画材の扱いによって集大成されているように思え、素晴らしかったです。

この絵は、芸術新潮の梅原猛先生の追悼号(2019年4月)の中で紹介されているのをみて衝撃を受けて以来、いつか観てみたいと思っていましたが、今回生で接することができてよかったです。(Y.O.)


【展覧会名称】生誕100年 回顧展 石本 正
【会  場】京都市京セラ美術館 本館 北回廊 2 階 公式ホームページ
【会  期】2023年4月4日(火)~2023年5月28日(日)
【観 覧 料】
当日券 一般1,800(1,600)円、大高生 1,400(1,200)円、中小生 1,200(1,000)円