2021年度3学期授業終了


3月18日(金)に3学期授業が終了し、六角舎アートスクールの2021年度の過程が終わりました。

3学期の目標は、受験生は国公立入試に向けての追い込みをしていくことです。1〜2学期に時間をかけて課題に取り組むことでつけて来た力を受験の現場で発揮できるよう、それぞれの志望校の入試問題を想定した課題を共通テスト明けからの約1ヶ月の間(中期、後期試験を受ける受験生はそれ以上の間)、集中して取り組んでもらいました。

受験生ではない受講生にとっても、3学期はこれまで積み重ねて来た練習の成果が形となって現れてくる時期です。受験生に比べると練習回数は少ないですが、練習の進み具合を見ながらそれぞれにステップアップしてもらえそうな難度の課題に取り組んでもらいました。

3学期中に制作された作品の中からいくつかをご紹介します。


受験生は、志望校の入試を想定したモチーフを数多くこなしていくことで、これまでの練習で理解して来たことを実践の中で発揮してくことを、そして、「こういうモチーフが実際に出されたら戸惑うだろうな」と思われるモチーフや、構成など扱う上で自由度の高いモチーフにも取り組んでもらうことで、現場でどんなモチーフが出されても落ち着いて対応できることを目指しました。
 
1)本年度は京都市立芸術大学の入試に、六角舎アートスクールから3名の受験生が挑みましたが、そのうちの2名が合格しました。

一番上のデッサンは今年度の京都市立芸術大学の合格再現です。

 

今回は、近年の傾向通り比較的シンプルで馴染みのあるモチーフが与えられました。軍手の塊、軍手2枚、ステンレスボウルを構成してデッサンするという課題ですが、このデッサンの作者はあえて軍手の塊を手前に持ってきました。そしてその狙いを表現するために、指の部分の表情を中心に徹底的に描き込むことによって軍手の塊の大きな量感と背後のステンレスボウルとの間の空間を生み出すことに成功しています。

作者は元々高い描写力を持っていましたが、その力が受験本番で十分発揮されたのではないかと思います。
 
2)2番目のデッサンは国公立の建築系大学受験のために練習していた受験生の作品の一枚です。視点や光源の方向を適切に設定し、出題の条件を踏まえた上で力強い構成が工夫できていると思います。また鉛筆でのトーンもしっかり出ていて迫力のあるデッサンになっています。

今年は、京都工芸繊維大学のデザイン建築学過程にこの作者を含め3名が受験し、3名全員が合格しました。
 
3)3番目のデッサンは基礎コースで学ぶ大学生の作品です。ラボルトの大きな量感を掴みながら細部の精密な観察を柔らかいタッチで時間をかけて描き込んだ秀作です。


4)1番目の色彩は高2生の作品です。イメージ表現の練習課題で、「夕暮れ時の街」がテーマです。作者は講師との綿密なやりとりの中でイメージを膨らませ、独自の工夫を加えて一つの画面にまとめました。「逢う魔が時」の不穏さが、水平線の傾きと人型のシルエットの重層性によって表現されていると思います。
このようにイメージ表現の課題は、普段日常の中で見逃している様々な形や色をあたらめて認識し直し、それを描いていくことによって、さらに日常の中での感受性を高めていくことに繋がっていくと思います。
 
5)2番目の色彩は銅駝美術工芸高校を受験した中学生の作品です。受験直前の作品で、2時間という短い時間の中でイメージ豊かに発想し、落ち着いた色彩で的確に描き込んだ良い作品だと思います。

京都市立銅駝美術工芸高校へは本年度はこの作者を含め4名が合格しました。


6)最後の立体は、高2生に取り組んでもらった「動物の仮面」です。作者は紙の曲線折りの技法を応用して、紙の特性を活かしつつ鷲の形をうまく形作っています。また、こうした立体の課題では作品の立たせ方も重要ですが、作者は羽毛のパーツを工夫してバランスよく立たせることに成功しています。


22日からは春期講習会。六角舎アートスクール2022年度の過程が始まります。
 
今年度に受験を控える受講生、そして来年以降に受験する受講生、それぞれの立場で新しい気持ちで頑張っていきましょう。我々スタッフもこれまでの経験や反省を糧にしながら皆さんを一生懸命サポートしていきます。(Y.O.)