六角舎アートスクールでは、潮江宏三先生(京都市立芸術大学名誉教授・前京都市美術館長)をお迎えし、「西洋美術のツボ」と題する年間6回の連続講座の機会を持つことになりました。
西洋美術史の泰斗・潮江先生が、西洋美術を見て楽しむための糸口として、文字どおり「ツボ」とも言える特有のポイントに焦点を当てて、解きほぐしていく講座です。
season 1 の前半3回は以下のようなテーマでお話しいただきました。
● 10月3日 「ジョットとレリエーヴォ」
『レリエーヴォとは、ルネサンス時代、絵画に欠かすことのできない目標の一つとして掲げられた言葉。そしてそれを最初に成し遂げた画家が、ジョットであることは誰もが認めていた。本来「浮彫」を意味するこの言葉が、ジョットならではの身体表現をさす言葉としてなぜ用いられたのか、そしてそれはその後どのように変遷していくのかをたどってみたい。』
● 10月31日 「ファン・エイクと空気遠近法」
『「空気遠近法」は、大気の効果を反映した彩色法で遠景の遠さを表す方法であるが、15世紀初頭のネーデルランドにおいて考案されたとされる。後に、レオナルド・ダ・ヴィンチの手で、ルネサンスの成果である「遠近法(線遠近法)」に加えて、欠かすことのできない「遠近法」の一つとして体系づけられるこの方法の変遷をたどる。』
第2回目は、空気遠近法を切り口に14〜16世紀のネーデルランド絵画史を概観しました。中世写本絵画に見られる風景描写や、聖母子像などの宗教画の舞台となる室内の窓から見える風景がどのように描かれてきたかということから、「世界風景」に至るまで、主にネーデルランドにおける空間表現の発展の歴史をお話しいただきました。最新の研究成果や作品ディテールの豊富な図版を参照しながらの充実した2時間でした。
● 11月28日 「遠近法」
『ルネサンス時代に考案された「遠近法」、詳細には「線遠近法」が、どのようなものであり、その要点がどこにあったのかについての理解を深めると同時に、それぞれの画家の学習と実現の様態に始まり、さらにはけっして一本道とは言えない、その後の展開についてたどってみる。』
第3回目の講座では、ギリシア時代からルネッサンスを経て近代に至るまで、絵画においてどのように空間表現が変化していったのかを「遠近法」を切り口に概観しました。