1学期授業終了


六角舎アートスクールでは、1学期授業が7月21日(水)で終了し、24日(土)の自由登校日を挟んで26日(月)から4週間に渡る夏期講習が始まります。

 

昨年度の受験生はほぼ、それぞれが各大学へと進学しましたので、今年度の受験生は基礎コースから持ち上がってきた受講生と、新たに入学された受験生になります。そこで例年同様、1学期は基礎力の強化を目指して課題を進めてきました。ある程度経験のある受講生も、再度基本に立ち戻り、作品制作のプロセスを含め、確認しながら課題を進めました。

 

また、志望校の入試からは少し外れるような課題にも1学期のうちならばまだ比較的余裕を持って取り組んでもらえます。そういう志望校の傾向と対策にとどまらない芸術への経験の蓄積が、本当の実力の涵養に結びついていくと思っています。

 

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1学期中に制作した作品の中からいくつかピックアップしてご紹介します。

 

●最初のデッサンは、京都市立芸大の2019年度入試の過去問題です。作者は、それぞれのモチーフの形態の正確な把握、トーンや質感表現、細部の丁寧な描写など、試行錯誤しながらもしっかりと描き上げました。

 

●2番目のデッサンは高2生の作品です。作者の昨年からのデッサンの積み重ねによって、「筋金の通った」デッサンになってきました。それぞれのモチーフの堂々とした捉え方と細部の丁寧な観察が共存する秀作です。

 

●上から3番目のデッサンは中学生の作品です。カップの円筒形がしっかり描けています。また茄子の黒い色の中の微妙なトーンが捉えられ鉛筆の黒を生かして描きわけられており、魅力的な茄子の表現になっています。

 

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色彩も、1学期中は基本課題をこなしながら色彩理論や構成の基本などを理解していってもらう期間です。

 

●色彩の1番上の作品は、色彩の必要な受講生が初期に取り組む基本的な色彩構成の課題です。この課題に取り掛かってもらう前には、必ず講師から一通り色彩の理論的な説明(色相環やトーンの概念、対比など)を受け、理解した上で取り組んでもらいます。作者は、説明を踏まえ、課題の条件を考えながらテーマに合った美しい色彩構成を仕上げてくれました。

 

●2番目と3番目の色彩は、ピーマンを観察してトーンや面の変化を見つけ出し、それを使って色面に分割して彩色する、色彩の基本課題の一つです。できるだけピーマンの立体感を崩さないように明度をコントロールするところがポイントです。作者はそれぞれ、ピーマンの形からそのものらしい形を見つけ出し、色相、彩度とも工夫しながら仕上げてくれました。

制作する人によって色々な色調や形態のピーマンが現れるのが面白いですね。

 

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昨年度に引き続き、六角舎アートスクールには今年度も建築志望の受講生が多く在籍しています。入試では立体が必要ではないけれど比較的時間の余裕のある建築志望の受講生にも、立体構成の課題にも取り組んでもらっています。立体構成で鍛えた空間を構成していく力が、入試の課題やひいては大学以降の勉強に役立ってくることもあると考えるからです。

また、まだ志望の決まっていない受講生もいらっしゃいますが、その人の潜在的な可能性を探るために立体の課題に取り組んでもらうこともあります。

もちろん京都市立芸大など国公立美大の対策として立体課題は不可欠ですので、基本の課題から取り組んでもらっています。

 

●写真は、そのような基本の課題の1つで、割り箸をたくさん使って建築的なテーマで作品を作ってもらうものです。それぞれ、それまで取り組んだ基本課題から学んだことを割り箸にうまく応用して、美しい立体構成を制作してくれました。

 

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1学期中には、ここで紹介した作品以外にも充実したデッサン、色彩、立体作品がたくさん生まれました。1学期の間に取り組んだ基礎的な課題を踏まえ、夏期講習ではさらにそれを深め、さらに実践的な課題へとつなげていきたいと思っています。(Y.O.)