12月21日に2学期授業が終了し、24日から始まった冬期講習会も29日で終了しました。
2学期の目標は、1学期で培った基礎力の底上げ、そして受験生に対しては入試本番に向けての実践的な力をつけることです。また11月には関西私立大の推薦入試などもあり、それへの対応ということもありました。
1)デッサンにおいては、モチーフの点数が増えたり組み合わせが複雑になってくるのに対して、安定して構成し、モチーフ同士の関係を意識しながらバランスよく描き上げることをテーマに練習しました。また過去問題にもなるべく多くあたって、入試の中で要求される形の精度や描き込み、とりわけ細部を丁寧に観ることによってデッサンを迫真的で豊かなものにしていくことなどを理解してもらいました。
入試においては時間に対応していくことも重要な課題です。デッサンを描き上げていく中での手順を見直し、できるだけ合理的に進めることで描き込みに時間を割り当てられるよう問題点を見つけていきました。
2)色彩においては、色々な出題形式に対応できるよう、ベタ塗りの色面構成、モチーフ構成、イメージ表現、切り紙を含んだ表現など、幅広いスタイルの課題に取り組んでもらいました。スタイルは様々でもそれらを貫く構成感覚や色彩感覚の関連性を理解してもらいながら課題を進めました。
3)立体は、テーマや素材の可能性の中から、形やその組み合わせを発想し、手を動かしながら一つの作品としてまとめていきます。
1学期に引き続き、様々な素材の扱いを経験してもらうとともに、形を組み合わせて空間を構成していく際にかたちの現れに柔軟に対応し、テーマや見せどころを外さないように全体の形態を最終決定できるようにしました。
デッサン
2学期・冬期講習中に制作された作品の中からいくつかをご紹介します。
一番上のデッサンは、京都芸大の過去問題です。人工芝の細部の描き込みにかなりの手数を要しますが、焦らず的確に描き込むことで確実に完成度は上がっていきます。
また、2番目のデッサン共々、多めのモチーフをバランスよく構成し、モチーフ同士の関係が作り出す空間を意識しながら描き上げることが大切だと思います。
3、4、5番目のデッサンはそれぞれ高1、高2、中学生の作品です。時間はかかっているのですが、3作とも細部まで丁寧に観察された秀作だと思います。
色彩
色彩作品の1番目のものはエビアンのペットボトルと直線1本を使ったモチーフ構成です。エビアンの特徴をよく観察して面白いところを発見し、それを生かして画面に構成し、彩色します。
2番目の色彩は京都芸大の過去問題です。直線のみを使った構成とベタ塗りで「メロディー」を表現するというものです。「メロディー」というテーマは曲線を使った構成にしたいところなのですが、あえて直線を使った構成が条件であるところがポイントだと思います。
3番目の色彩はピーマンを使ったモチーフ構成の基本課題です。ピーマンの形から色面を導き出し、立体感が出るように彩色します。これは高1生の作品です。
4番目の色彩は、イメージ表現の基礎課題で「椅子」がテーマです。表現方法や発想なども制限なく自由に取り組んでもらいます。これは高2生の作品です。
5番目の色彩はモチーフと言葉を与えられ、そこから自由に発想して色彩で表現する課題です。これは銅駝美術工芸高校の過去問で、虫眼鏡と「発見」という言葉から発想しました。
立体
立体の1番目は京都芸大の過去問で、2本の円柱を関連づける一つの立体と作るというものです。
立体の2番目は、ある建築学科受験のための練習課題で,
赤と青の2種類の円柱を直方体のみを使って関連づける立体です。
これ以外にも、高1、高2生にも立体構成の基礎的な課題に取り組んでもらいました。
年内の授業は終了しましたが、年末年始のお休みの後、1月7日(火)からは3学期が始まります。
銅駝美術工芸高校を目指す受験生は新学期が始まって1ヶ月半ほど、国公立大学を目指す受験生はセンター試験後、前期日程までの約1ヶ月間が正念場となります。
2学期・冬期講習までに培った力を生かし、さらに発展させて、入試の現場でしっかりと力が発揮できるよう頑張っていきましょう。(Y.O.)