イタリア美術紀行ーヴェネツィア編・その1(ヴェネツィア・ビエンナーレ/ジャルディーニ会場)

 

少し前のことになりますが、9月中旬から8日間ほどイタリアを旅行してきました。研究室の皆さんには、先日の講評会の後のスライド上映会でヴェネツィア編だけをご紹介しましたが、ブログでは訪れた他の街でみたものも含めてご紹介していきます。

イタリアには、1990ー91年にイタリア政府留学生として1年間滞在していたことがあります。しかしその後その地を訪れたことはなく、今回の旅行は24年ぶりのイタリア訪問ということになります。

まず今回の旅行はヴェネツィアから始まります。この地を訪れた目的は何と言ってもヴェネツィア・ビエンナーレを観ることにありました。

 

 

ヴェネツィア・ビエンナーレは2年毎に開催される、100年以上の歴史を持つ現代美術の国際展です。今回は56回目の開催で、テーマは "All the World's Futures" です。
ヴェネツィア本島の東の端にあるジャルディーニ(公園)会場と、その近くにある元造船場跡のアルセナーレ会場に大きく分かれており、他にも周辺の島々や本島内の空きスペースなどを利用した展示もあり、さらには関連の展覧会も多数開かれています。そしてそれを観るために世界中から美術に関心のあるたくさんの人々が集まってきます。(私もそのうちの一人というわけです。)

 

 

これはジャルディーニ会場の見取り図です。このように様々な国のパビリオンが公園内に建ち並び、そこに各国から選ばれた代表のアーティストが展示をしています。

 

 

まずは日本館です。私にとって、ヴェネツィア・ビエンナーレへは、日本館の塩田千春さんのこの作品 "The Key in the Hand" を観るために来たようなもの…と言って良いほど素晴らしい作品だったと思います。古い舟から赤い糸が溢れ、部屋を蜘蛛の巣状に覆い尽くし、そして糸の結び目には何万本もの古鍵が吊り下げられています。そうした造形が表現する意味を考えながら、時間を忘れて作品を色々な角度から見つめました。

 

 

その他で印象に残ったパビリオンを紹介します。

 

 

イギリス館です。写真にあるような彫刻作品が建物の内外に展示されていました。

 

 

フランス館です。大きな樹木の根っこのところにモーターが入っているらしく、細かく振動しながら樹木自体が移動していました。「Moving Natureだ」と観客がつぶやいていました。

 

 

オーストラリア館です。奇妙なオブジェや生き物のかたちが博物館のように展示されていて見応えのあるインスタレーションでした。

 

 

クロアチア館です。巨大なモノクロの現代版受難図のような絵画でした。

 

 

企画展示のパビリオンの中にあったマレーネ・デュマスの小さなドクロの絵画が並べられた部屋や、アボリジニのアーティストのエミリー・ウングワレーの絵画など、観れて良かったなと思う作品は他にもありました。

半日がかりでようやくジャルディーニ会場を一通り回りました。明日はアルセナーレ会場に行きます。(Y.O)

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2015年10月15日付けの投稿を転載したものです。)