磯江毅=グスタボ・イソエ展/奈良県立美術館

奈良県立美術館で開催されている「磯江毅=グスタボ・イソエ」展に行ってきました。

まず会場はじめに掲げられている年譜を見てびっくりしたのは、磯江氏は受験時代を、僕も通っていた大阪・手塚山にかつてあった小さな画塾で過ごされたということで、妙に親近感を持ちながら展覧会場を回り始めることになりました。

美術館ほぼ全館にわたってたくさんの精緻なリアリズムの作品が展示されています。
印象深かったことは、油彩画とほぼ同じくらいの比率で、鉛筆によるモノクローム(厳密には水彩などによって薄く彩色されているものもある)の作品がたくさんあったことで、デッサンというものが油彩画のためのエスキスなどといった立場ではなく、油彩画同様の独立した価値を持つ作品として取り組まれていることでした。
実際、僕が展覧会中で最も感銘を受けた作品も、展覧会のポスターにもなっている「深い眠り」と題された女性のデッサンでした。(上の画像はその一部です。)これはかなり至近距離で見ることができましたが、「とにかく描いて」あります。
遠くから見ると滑らかな女性の肌のトーンなのですが、近くで見ると明るいところまで、薄くてシャープなハッチングがびっしりと入っていて、とにかく高い集中度を持って自分が求めるトーンを執拗に求め続ける姿勢に圧倒されます。
また、テーマの中心になる女性像の密度に対して、背景などは割にざっくりとラフにペイントされていたり、水彩によるシミや、描いたり消したりしているうちに生じたのであろう様々なノイズなどもうまく鉛筆のタッチの中に取り込んでいます。こうした絵のメチエの集積が高度な観察と渾然一体となって、静謐ながらじわじわと迫ってくる底光りのする画面を生み出しているように思いました。

展覧会場の最後には、大阪での受験時代に始まり、スペインに渡られてからの学生時代に描いた夥しい数の人体デッサンやクロッキーが展示されていますが、習作にも関わらず高いクオリティーのもので、非常に興味深く観ることができました。

絵画を勉強している人はぜひ観に行かれることをお勧めします。(Y.O.)

特別展 磯江毅=グスタボ・イソエ ~マドリード・リアリズムの異才~
2011年10月22日(土)~12月18日(日)
午前9時~午後5時(金・土曜日は午後7時まで)
入館は閉館の30分前まで
休館日:11月14、21、28日、12月5、12日の各月曜日

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2011年10月26日付けの投稿を転載したものです。).