ヨコハマトリエンナーレ2017-島と星座とガラパゴス、その他 その2

 

その1よりのつづき。
無料の送迎バスで第2会場の赤レンガ倉庫に移動。

 

 

小沢剛の出品作は、「帰って来たシリーズ」の新作「帰って来たK.T.O」。明治の思想家岡倉覚三(天心)のインドでの足取りを追い、帰国後の六角堂での思索に思いを馳せる。インドの看板職人による絵とインドのロックグループが岡倉のことを歌ったミュージック・ビデオの展示。

 

 

中国の作家ドン・ユアンの作品。中国の庶民的な家の内部の調度品、日用品、装飾物、持ち物、食べ物、祭壇などが、几帳面にひとつひとつのパネルに油彩画(アクリル画かも)で精密描写されて、もともとの家を再現するかのように併置、構成されています。(解説によると、これは区画整理のために解体されてしまう予定の作家の祖母の家を再現したものらしい。)そこに込められた意味を度外視しても、変哲もない日用品をひとつひとつ描写し、それを全て積み重ねて提示するというその徹底性が、(執念というよりは)その描写の手並みのクールさも相まってむしろユーモアに転化しているところが面白い、と感じました。

 

 

他にも興味深い作品はありましたが、とりあえずこのくらいで。
展示内容やスタッフの行き届き方はもちろん、会期中に開催されるシンポジウムや関連の企画など(これはパンフなどを見て想像するだけですが)も含め、やはりヨコトリはしっかりした企画の展覧会だな、という印象でした。

その後東京に移動し、上野の東京都美術館で杉戸洋「とんぼとのりしろ」展、

 

 

翌日、埼玉県立近代美術館で遠藤利克「聖性の考古学」展、

 

 

東京・表参道のエスパス・ルイヴィトンでダン・フレイヴィン展、

 

 

乃木坂の国立新美術館でジャコメッティ展などを観ました。ジャコメッティ展では、会場内の一部屋だけ作品を撮影していい場所があって、そこではあの細い人物がさながらスターのように撮影攻めに合っている様子がなんだか笑えました。(そういう私もしっかり写真を撮らせてもらったのですが。)

 

 

東新宿にある合気道本部道場でも朝晩は稽古したので、他にも「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」(東京国立近代美術館)、「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」(21_21 DESIGN SIGHT)など観たい展覧会があったのですが、時間的にはこれが限界でした。(Y.O.)

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2017年9月10日付けの投稿を転載したものです。)