「ハートロッカー」/「ベルリン・フィルと子どもたち」

 

先週は駅前のレンタルショップでDVDレンタルが100円だったので、たくさん借りてきて毎晩映画を観ていました。今回借りたのは

「ハリーポッターと謎のプリンス」
「ハリーポッターと死の秘宝パート1」(ハリーポッターは半分子どものために借りました。)
「ハートロッカー」(キャスリン・ビグロー監督。イラクで爆弾処理任務にあたるアメリカ兵の話。)
「ベルリン・フィルと子どもたち」(ベルリン・フィルとの「春の祭典」を踊るために集まった子どもたちの練習風景を描いたドキュメンタリー)
「Ray」(ソウルの巨人、レイ・チャールズの伝記。行きつけのカレー屋のマスターのお薦めにより。)
「ブラザーサン シスタームーン」(フランコ・ゼフィレッリ監督。聖フランチェスコの伝記。)

 

「Ray」も良かったんですが、この中では「ハートロッカー」と「ベルリン・フィルと子どもたち」が断然お薦めです。

「ハートロッカー」は、何年か前のアカデミー賞で「アバター」を抑えて賞を総なめにした作品ですが、確かに良かったです。戦時下の市街地における爆弾の処理という、人間に極限状態を強いる任務を日々こなす中、任務に従事する登場人物たちに生じる、様々な心理的葛藤を描いた重い内容の映画なのですが、引き込まれるように観てしまうのが不思議です。脚本や演出、カメラワークなどが優れているからなのでしょう。イデオロギー的なことはともかく、今まさにこのような現実がある、ということを認識しておくためにも見るべき映画だと思いました。

 

 

「ベルリン・フィルと子どもたち」は、ベルリン・フィルとの「春の祭典」(ストラヴィンスキー)を踊るために集まったベルリンに住む子どもたち(そのほとんどはダンスに関して全くの素人であり、様々な年齢、出身地によって構成されている)が練習を積んで行く中で自分自身を見つめなおし、そして公演を成功させるまでを描いたドキュメンタリーです。はじめは興味本位で集まった来た子どもたちが、初めて体験する真剣な練習に戸惑い、耐えられずにふざけたりだらけたりしてレッスン自体が崩壊しかねないところを、ダンスの指導者やサポートの先生が真摯に子どもたちの心と向き合って、物事に真剣に取り組むことの意義を諄々と説きながらも何とかレッスンを進めて行く姿が感動的です。
また、名実共に世界一のオーケストラであると目されるベルリン・フィルが、その立場に安住せず21世紀に開かれた新しいオーケストラのあり方を模索していたり、芸術監督/指揮者のサイモン・ラトルやダンスの指導者の「芸術は人間にとって必要不可欠なものだ」という基本的姿勢に基づいて行動する姿にも感銘を受けました。

 

レンタル100円だったのでたまたま借りてみた映画でしたが、大当たりでした。まだまだ知らない良い映画がいっぱいありますね。(Y.O.)

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2011年7月31日付けの投稿を転載したものです。)