松尾美術研究室から目と鼻の先と言っていい、元町商店街(元町4丁目)の中にミニシアターが誕生します。その名も「元町映画館」。
ここは研究室でもモチーフ調達などで良く利用していた100円ショップのあった建物です。その100均が無くなって、その後何やら工事しているなーと、通りがかるたびに見てはいたのですが、まさかミニシアターになるとは思ってもいませんでした。
そして何よりの驚きは、その支配人が僕の大学時代の同級生なのです!
テレビのニュースでそのことを知り、早速元町映画館のウエブサイトを見てみると、映画愛好家たちが手作りで作り上げた映画館であるとのこと、本当にいい映画を新旧にこだわらずに上映していきたいとのこと、以前は地域の中に必ずあった文化的な(非商業主義的な)場所がどんどん姿を消していく中、あえてこのような映画館を運営していくことで地域社会に貢献していきたいとのことなど、素晴らしい心意気ではないですか!
近日上映のラインアップを見てもなかなか渋いところが揃ってます。観たいと思っていた「トロッコ」が上映第1弾というのも嬉しいですが、ポルトガルの大巨匠マヌエル・ド・オリヴェイラ監督の近作が2本も近日上映予定です。今後も期待できそうですね。
関西でこのようなスタンスで運営しているところでは、大阪・九条のシネ・ヌーヴォや大阪・十三の第七藝術劇場、京都・東寺の京都みなみ会館やCOCON烏丸の中にある京都シネマなどがすぐ思い出されます。これらの映画館はかなり積極的に特集企画を組んで、滅多に観られないが非常に重要な映画の紹介に努めていて、僕も注目しているのですが、京都シネマ以外はちょっと場所的に行きにくいのですね。神戸では、新開地にある神戸アートビレッジセンターもがんばっていると思うのですが、やはりここも行きにくくてあまり利用できていません。以前、三宮駅前近くに名画館があって僕もたまに行っていましたが、ミント神戸が建つ頃に無くなってしまったような気がします。
世界には素晴らしい映画がたくさんあります。デジタル技術を駆使した娯楽大作もいいのですが、大手の映画館では上映されず、小さな名画館でたまにひっそりと上映されているもののなかに、観たものを深く感動させるような芸術性の高いもの、世界の有様を鋭く切り取る先鋭的なもの、一過性のものではなく世代を超えて観られていくような映画が多いのは確かです。今はそうした作品もかなりDVD化されるようになってはいますが、そうしたDVDはやはりマニアのためのもので価格も高いし、すぐに廃盤になるし、レンタルショップなどでもあまり置いていないので、やはり目にする機会は限定されてしまうのです。これは人生的損失と言えるでしょう。
元町映画館の様にすごく行きやすくて、こんなに良質な映画を紹介する場所ができたのはほんとに貴重なことです。末永く続いていくよう願っていますし、僕なりに応援していきたいとも思います。(Y.O.)
(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2010年7月15日付けの投稿を転載したものです。)