ハナ・マフマルバフ「子供の情景」

 

最近、めったに映画館に映画を観に行くということがなくなってしまっていたのですが、少し前にTVでこの映画のことが紹介されていて、久しぶりに「これは観に行かなくては」と思い、珍しく前売り券を買って、観に行ってきました。COCON烏丸3Fの京都シネマです。

アフガニスタン、バーミヤンの6歳の女の子バクタイは、隣に住む子が教科書を読むのを見て、わたしも学校に行きたいと、市を歩き回って卵を売ってノートを買い、これでやっと学校に行けると思ったら悪ガキどもの戦争ごっこに巻き込まれて・・・。

監督は19歳のイラン人女性ハナ・マフマルバフ。登場人物は現地の全くの素人をつかって撮影をし、ドキュメンタリーとフィクションが入り交じった、素朴で、リアルで、詩的でユーモアもある魅力的な映像を作っています。

邦題の「子供の情景」というのはあまり良いタイトルだとは思わないけれど(英語のタイトルー原題の英訳?ーは ”Buddah Collapsed out of Shame" )、キャッチコピーの「子どもたちは、大人のつくった世界に住んでいる」は、本当その通りだよなぁ、とつくづくそう思います。
この映画はあまり救いのない終わり方をするのだけれど、あえて救いがあるとしたら、主人公の女の子の屈託のない可愛らしさと「学校へ行きたい」という思いが残ることでしょう。

ハナ・マフマルバフ監督は、家族のほぼ全員が映画監督という映画一家の末の娘ですが、思えば僕は、父のモフセン「カンダハール」、姉のサミラ「ブラックボード」と、マフマルバフ一家の新作はロードショーで見ています。(モフセンの「サイクリスト」と「ギャベ」はビデオで観たことがあります。)特に「ブラックボード」は大好きな映画でした。
「子供の情景」も、アフガニスタンの子どもたちに向けるそのまなざしの初々しさが印象に残る秀作だと思います。また、父や姉同様に、不条理な現実に果敢に取り組み物語を紡ごうとする姿勢が素晴らしいと思い、今後も注目して行きたいと思いました。(Y.O.)

 

(この文章は、松尾美術研究室のブログ "マツオ・アートログ”への2009年5月21日付けの投稿を転載したものです。)