関西私立美術系大学の入試


関西私立美術系大学の入試は、その種類や回数が多く、複雑で分かりにくい状況になっています。総合型選抜<体験授業型>試験が主軸となっている関西私立大学の入試について解説します。           六角舎アートスクール

大学、短大
●関西の私立美術系大学は、大きく分類して、京都精華大学京都芸術大学(旧・京都造形芸術大学)成安造形大学嵯峨美術大学神戸芸術工科大学大阪芸術大学京都美術工芸大学の7校あり、近畿大学大阪成蹊大学大手前大学にも美術・デザイン系の学部があります。(京都女子大学にもデザイン関連の学科があります。)また、短大では嵯峨美術短大大阪芸術大学短期大学部奈良芸術短大があります。神戸山手短大にもデザイン関連の学科があります。)
少子化の影響により各大学とも受験者数は減少していますが、ビジュアルデザイン・イラスト系の学科やマンガ・キャラクター系の学科など、依然として高倍率の学科もあります。各大学共に細かなニーズに合わせた編成になっていて、マンガ、キャラクター、映像、イラスト、フィギュア制作、メディアアートなど、国公立大にはない専門の学科もあります。受験生の選択の幅は広がりますが、細分化されているがゆえに大学や学科・コースの選択に迷うところもあると思います。


4種類の入試(※各大学によって入試の名称はかなり異なっていますのでご注意ください。)
●関西私立大の入試制度は、「総合型選抜<体験授業型>試験(9月~)」「指定校推薦型選抜/総合型選抜<実技試験型>試験(11月頃〜)」「一般選抜試験(1月下旬~)」「大学入学共通テスト利用選抜試験(1月中旬の大学入学共通テスト以降)」の4種類の入試が基本となります。その上で、「総合型選抜<体験授業型>試験」が複数回ある、「総合型選抜<実技試験型>試験」やそれに準じた機会が複数回ある、というように、1つの種別で数回の入試があるケースが標準になっています。1年を通して7回や8回の入試が あるという状態が当たり前になっています。
近年導入された
「総合型選抜<体験授業型>試験」(旧・AO入試)は、今では主要7大学すべてが実施しています。現在では「総合型選抜<体験授業型>試験」で募集人員の半数を取る状況ですから、受験対策に出遅れてしまったり、国公立大が第一志望で関西私立大を”押さえ”にするため「総合型選抜<体験授業型>試験」で合否を決めることができない受験生には、注意が必要です。

 

総合型選抜<体験授業型>試験(旧・AO入試)

総合型選抜<体験授業型>試験とは、体験授業やワークショップを通じて「大学が受験生を査定するだけでなく受験生も大学を査定する」という趣旨の入試制度です。早ければ9月上旬には実質的な合否が決定します。
総合型選抜<体験授業型>試験では、まずエントリーをして体験授業や面接などを受けます。大学側は入学してほしい受験生に「出願可」の通知を出しますので、入学したければ出願します。出願すればその時点で合格となり、数日後に合格通知が来ます。出願すれば専願ですので、合格すれば必ず進学しなければいけません。けれども、入学したくなければ「出願可」をもらっても出願しなくてよいのです。そして出願しなければ、受験料も発生しません。その場合、結果として無料で体験授業やワークショップが受けられたことになります。総合型選抜<体験授業型>試験が専願になるのは出願した時点ですので、体験授業を受けるエントリーの時点で専願を気にする必要はありません


総合型選抜<実技試験型>試験(旧・自己推薦入試)、一般選抜試験、大学入学共通テスト利用選抜試験(旧・センター試験利用入試)、その他
総合型選抜<実技試験型>試験は11月初旬以降、一般選抜試験は1月下旬以降に実施され、どちらも実技試験が課せられます。以前は2課題の実技試験(例:デッサン+色彩)が標準でしたが、今は大阪芸大デザインなど一部を除けば、得意な1課題だけで受験できるようになっています。また、国語、英語などの学科試験があっても選択制の大学や、学科試験をはずすことができる大学もあり(注:関東系私立大では学科試験は必須)、以前に比べて受験そのものとしてはハードルは低くなる傾向になってはいます。ただ、上述のように総合型選抜<実技試験型>試験や一般選抜試験は募集定員が少なくなっているため、一般的に言って比較的倍率は高くなります。

 

●成安造形大学や嵯峨美術大学では主に総合型選抜<実技試験型>試験と同時期に、合格者には学費を国公立並みにするという特典を与える入試があります。課題はデッサンのみですが、課題内容が公表されていたり(成安造形大学)、モチーフの難度、定員などの関係もあって、しっかりと練習を積んで実力をつけておかないと難しい試験です。ただ、総合型選抜<体験授業型>試験に合格した後でも受験できること、特典が取れなくても総合型選抜<実技試験型>試験の枠で合格する可能性があることなど、チャレンジする価値は十分あります。


●大学入学共通テスト利用選抜
試験は、大学入学共通テストの点数だけで合否が決まるタイプと、大学入学共通テストと実技試験の合計で合否が決まるタイプとがあります。後者の場合、特待生として成績優秀者に授業料の減免を与える大学(大阪芸術大学など)もあります。

 

対策

関西私立大が第一志望の受験生は、志望校・志望科を早めに決めて、夏休み後からエントリーが開始される総合型選抜<体験授業型>試験から受験することをお勧めします。そのためには、春ごろから各大学で開催されるオープンキャンパスや各地で開催される大学説明会などに参加したり、資料などを取り寄せ、大学の雰囲気やそこでやりたいことができるかなどを調べておく必要があります。

仮にまだ総合型選抜<体験授業型>入試前の時点では第一希望の大学を絞りきれていなかったとしても、気になる大学であれば、(総合型選抜<体験授業型>試験は無料で体験授業やワークショップが受けられる機会なので)その大学を知る機会として積極的に利用すると良いと思います。

 

総合型選抜<体験授業型>試験で募集定員の半数を採り、本来メインの入試であるべき一般選抜試験では募集定員の10%程度しか採らないのが現状なので、関西私立大が第一志望の受験生は、総合型選抜<体験授業型>試験、遅くとも総合型選抜<実技試験型>試験で合格を決めておきたいところです。

●一方、国公立大が第一志望だが、浪人ができないなどの理由で私立大も併願する受験生は、関西私立大には総合型選抜<実技試験型>試験で合格できるように計画をします。その場合でも総合型選抜<体験授業型>試験にエントリーして体験授業を受けることはできますが、専願なのでそこで合格を決めることはできません。また、一般選抜試験はその時期が国公立入試の直前になるので、なるべく避けたいのです。

●上述のように、関西私立大では春から(早いところで3月から)9月くらいまでオープンキャンパスが催されます(国公立大は夏の7月末から8月)。体験実習ができたり教員が質問に応じてくれるコーナーもあります。志望大学や気になる大学には積極的に参加し、大学を肌で感じておきましょう。(※今年は新型コロナウィルス感染防止のために各大学ともオープンキャンパスを中止または期日変更しています。オンラインでの入試相談や予約制のオープンキャンパスを開催している大学もありますので、気になる大学の情報を常にウェブサイト等で確認するようにしてください。)

 

●六角舎アートスクールでは、各大学の総合型選抜<体験授業型>試験での体験授業の内容などを踏まえ、当日自信を持って臨めるよう体験授業に関連した練習をしています。また、総合型選抜<実技試験型>試験や一般選抜試験において課されるデッサンや色彩、デザインなどの課題にも対応します。