私の選ぶ音楽の7日間・4日目

Ornette Coleman "This Is Our Music" 1961

 

80年代の終わり頃は、ジョン・コルトレーン、オーネット・コールマン、エリック・ドルフィー、セシル・テイラー、アルバート・アイラー、アート・アンサンブル・オブ・シカゴなどのフリージャズばかり聴いていた。

 

中でもオーネット・コールマンの音楽は、そのサックスの音色の美しさとフリージャズにしては意外にとっつきやすさがあって好きだった。他のフリージャズのパイオニアたちの響きが往々にして聴き手を突き放したり、緊張を強いるような一種恐ろしげな表情を持つのに対して、オーネットのそれは軽やかでクールで、時にはどこか人懐っこい感じがする。時々聴きながら「オーネットのどこが" フリージャズ”なんだ?」と思うほどだったが、ある時何かでオーネットが「自分では”フリー”と言ったことはない。それはレコード会社が勝手につけた概念で、強いて自分の音楽を一言で言えば、”平等”だと思っている」と語っているのを読んで、ああ、なるほどやっぱりそうだったのか、と思った。

 

”フリー”を音楽的に追求していけば、コルトレーンやアイラーがそうだったように、それはもしかしたら自らの否定を不可避とするような「究極」の追求へと繋がって行くのかもしれない。しかしオーネットの音楽からそのような自己否定的、破滅的な響きは聴こえてこない。むしろ、それは音楽を作り出す人や形式がどのように”平等”に個性や特質を発揮したり、尊重しながら共にユニークなものを生み出すことができるのか、という飽くなき実験の場であったのだと思う。(でも、コルトレーンやアイラーの音楽は今も好きですが。)(Y.O.)